斜視・弱視
視力の発達について
新生児の視力は0.02位と考えられています。その後視力はゆっくり発達して3歳の終わりころに1.0に達します。
弱視って何?
乳幼児期に眼の病気、強い遠視、斜視などがあると視力が正常に発達しません。
これを弱視と言います。
弱視の治療は6~7歳位まででないと効果がありません。早期に発見することが重要になります。3歳児健診や就学時健診で視力をチェックして下さい。
形態覚遮断弱視
- 生まれつき眼の中にある水晶体という部分が混濁している時(先天白内障)
- 外傷により水晶体が混濁した場合(外傷性白内障)
- 眼の怪我で長時間眼帯をしていた場合
- まぶたが下がっていて黒目をおおっている場合(眼瞼下垂)
1~4がある場合、眼に光が十分入ってこない為、視力が正常に発達しなくなってしまいます。形態覚遮断弱視といいます。
治療法は?
まず白内障や眼瞼下垂の手術をします。片眼の場合は手術後、視力の良い方の眼を隠し(アイパッチを貼る)弱視眼だけで細かい物を見るようにします。
不同視弱視
片眼に強い遠視があり、発見されないまま幼児期を過ごしてしまうと視力が正常に発達しません。不同視弱視といいます。
治療法は?
遠視を矯正する眼鏡を作成し視力の良い方の眼を隠し(アイパッチを貼る)弱視眼だけで細かい物を見るようにします。
屈折性弱視
両眼に強い遠視があり、発見されないまま幼児期を過ごしてしまうと視力が正常に発達しません。屈折性弱視といいます。
治療法は?
遠視を矯正する眼鏡を作成し細かい物を見るようにします。
斜視弱視
片方の眼の視線がずれている状態(斜視)があり、発見されないまま幼児期を過ごしてしまうと常に斜視になっている方の眼の視力が正常に発達しません。
斜視弱視といいます。
治療法は?
遠視がある場合は遠視を矯正する眼鏡を作成し、視力の良い方の眼を隠し(アイパッチを貼る)弱視眼だけで細かい物を見るようにします。
ひとこと
弱視治療の為の眼鏡は視力を発達させる目的で装用します。視力が発達後に近視になり眼鏡が必要になった場合とは異なります。したがって弱視治療中は常時眼鏡を装用していなくてはいけません。
治療の効果が出てくるのも装用直後からではなく、時間が必要になります。見え方がすぐ良くならないからといって装用をやめてしまうと視力は発達しません。もし弱視治療の眼鏡をかけることになった場合、眼鏡をかける事の目的を保育園や幼稚園の先生に説明して頂くのがよいかと思います。
斜視ってなに?
斜視は右眼と左眼が違うところを見ている状態です。
①両眼の視線を合わせようとする脳の機能に原因がある場合
②眼球を動かす筋肉に原因がある場合
③遠視が原因の場合
①~③のような原因が考えられます。原因不明の場合もあります。
斜視だと何がいけないの?
人間には両眼視という能力があります。言葉のとおり右眼と左眼で同じところを見ることにより得られます。この両眼視があることにより、遠近感をつかんだり、物を立体的に見ています。
斜視になっているとこの両眼視の能力が発達しません。その他、物を見る眼がどちらかの眼に決まってしまっている場合は使っていない方の眼の視力が正常に発達しません(斜視弱視)
内斜視
1眼の視線が内側に向いているもの。
代表的な内斜視を2つご説明します。
調節性内斜視
遠視が原因の内斜視です。中等度の遠視があり眼鏡を装用しないでいると、内斜視を発症することがあります。発症年齢は4ヶ月より思春期ですが1歳から3歳の間が最も多です。
本態性乳児内斜視
成因が不詳で発症年齢が生後6ヶ月以内の内斜視です。
治療法は?
遠視が原因の場合は眼鏡を装用することで眼の位置が良くなります。
眼鏡で矯正出来ない斜視は手術が適応になります。
外斜視
1眼の視線が外側に向いているもの。
外斜視は大きく2つに分けられます。
間歇性外斜視
いつも斜視の状態ではなく眼の位置が正常な時もあります。
疲れている時や眠い時に斜視になりやすいです。
恒常性外斜視
いつも斜視の状態です。
治療法は?
眼鏡装用で眼の位置がよくなるタイプ、訓練が必要なタイプ、手術が適応になるタイプ、タイプにより治療法が異なります。
偽斜視
内側のまぶたが眼にかぶさっている場合、一見斜視のように見えることがあります。偽斜視といいます。治療の必要はありません。
ひとこと
①眼の奥が白くみえる
②どちらかの眼を隠すと(よく見えている眼を隠すと)嫌がる
③いつも顔を傾けている
④どこを見ているか分からないと感じることがある
①~④のようなことがある場合弱視、斜視の可能性があります。
弱視、斜視は早期発見、早期治療がとても重要です。このような様子を確認した場合、すぐに受診することをお勧めします。